安くて美味しい、そして皇室行事にも。知られざる低利用魚「カナガシラ」の魅力に迫る

「未利用魚」や「低利用魚」という言葉をご存知でしょうか。

さまざまな理由があって市場に出回ることが少なく、食卓にのぼる機会が少ない魚たち。

けれどその中には、とても美味しい掘り出し物が眠っています。

今回ご紹介するのは、そんな低利用魚の「カナガシラ」。

もしかしたら、スーパーの片隅でひっそりと並んでいた姿を見かけたことがあるかもしれません。

一尾100円前後という驚きの価格で、しかも刺身でも煮つけでも絶品。

それでもなぜか知られていないカナガシラ。その魅力に迫ってみましょう。

目次

カナガシラってどんな魚?

カナガシラは、分類上は「ホウボウ科カナガシラ属」の魚で、外見はホウボウに非常によく似ています。

立派な胸ビレやゴツゴツした頭部など、見た目にもインパクトのある魚です。

分布域は広く、北海道から九州まで全国で水揚げがありますが、特に東北や新潟などの日本海側では比較的多く漁獲されています。

中でも宮城県や福島県では、年間数百トン単位での水揚げがある年もあり、実は「いるのに、知られていない魚」の代表格ともいえる存在です。

味は上品でしっかりとした旨味のある白身。ホウボウにも似ていますが、むしろホウボウ以上に旨味が濃いという声もあります。

実は皇室行事にも登場した魚

カナガシラの名前は、「金頭(かながしら)」という縁起の良い当て字がされることもあり、頭が固い魚であることから、「丈夫に育つ」「芯のある子に」という願いを込めてお食い初めで食べられることもあるそうです。

このカナガシラ、2002年に愛子さまの「お食い初め」の儀式でも用いられた魚でもあります。

このように、私たちがあまり注目していないだけで、カナガシラは昔から日本人に馴染みのある魚なのです。

なぜ広まらない?低利用魚と呼ばれる理由

味も良く、見た目も美しく、縁起も良い。にもかかわらず、なぜカナガシラはあまり市場で見かけないのでしょうか?

その理由のひとつが「調理のしづらさ」。ザラザラとしたウロコが外しづらく、魚屋や加工現場での手間が敬遠されがちです。

もうひとつは、「知名度の低さ」。

市場ではホウボウやカサゴといった魚に押されがちで、漁師から見ても「売れにくい魚」とされ、価格が上がりません。その結果、流通も加工も最小限にとどまり、ますます知られなくなる……という悪循環が生まれています。

美味しさ、いろいろ──おすすめの食べ方

驚くほど安いのに、とんでもなく美味しい。そんなカナガシラのおすすめの食べ方をご紹介します。

ぜひ食べて欲しいのが刺身です。
上品な白身で、カナガシラの美味しさをダイレクトに感じられます。

他にも、煮つけたり、汁物にしても出汁がよく出てうまみを味わえます。
日本酒が好きなら、焼いた身に日本酒を注いでもとても美味しいです。

本当に美味しい魚なので、見かけたらぜひ一度手にとってみてください。

やみつきになるような美味しさがありますよ!

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この記事を書いた人

さかなのNEWS編集部。魚、漁業、水産業のことを「広く」「深く」「ゆるく」伝えています。

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