寿司職人に修業は必要?寿司学校との違いは?寿司職人の最新事情

「寿司職人になるには、何年も修業しなければならない」

かつては、それが当たり前だと考えられていました。しかし近年は、寿司の技術を学べる学校が登場し、わずか2〜3か月ほどで寿司の握り方や魚の扱い方を学べるようになっています。

では、長年の修業はもう必要ないのでしょうか。

結論からいえば、寿司学校で学べることと、寿司店での修業によって得られるものは異なります。

どちらが正しいかではなく、どのような寿司職人を目指すのかによって、選ぶべき道が変わってくるのです。

目次

寿司職人の技術を短期間で学べる寿司学校

東京寿司アカデミーに代表される寿司学校では、寿司を握る技術や魚に関する知識を、体系的に学ぶことができます。

通学型の学校だけでなく、通信講座なども登場しており、寿司職人を目指すための入口は以前よりも大きく広がりました。

寿司の基本的な技術や知識についていえば、2〜3か月ほどの短期間でも一定の水準まで身につけることは可能です。
これは、寿司業界にとっても大きな意味を持ちます。

寿司職人になるまでに何十年も必要となれば、職人の数を簡単に増やすことはできません。
一方、寿司学校で効率よく技術を学べる人が増えれば、新しい寿司店を開いたり、海外で寿司を提供したりしやすくなります。

訪日外国人による需要や海外での日本食人気が高まるなか、寿司をさらに世界へ広げていくためにも、短期間で職人を育てる寿司学校の役割は大きいといえるでしょう。

修行は意味がない?寿司職人の修業で身につくこと

寿司学校で技術を習得できるからといって、寿司職人の修業に意味がなくなったわけではありません。

実際の寿司店では、教科書どおりにはいかない出来事が毎日のように起こります。

予定していた魚が仕入れられないこともあれば、想定していたものとは違う魚が届くこともあります。
お客から思いがけない要望を受け、その場で対応を考えなければならないこともあるでしょう。

こうした予想外の事態にどう対応するかは、授業だけで身につけるのが難しいものです。
実際の店で営業を繰り返し、失敗や判断を重ねるなかで、少しずつ養われていきます。

寿司職人に必要なものを「心・技・体」で表すなら、寿司学校で効率よく学べるのは主に「技」です。

一方、日々の仕事を続ける習慣や、問題が起きたときの心構え、職人としての考え方といった「心」の部分は、現場での経験によって身につくものだといえます。

また、修業によって得られる人とのつながりも見逃せません。

修業先の大将や常連客、仕入れ先、同業者との関係は、独立後の大きな支えになります。
修業していた店の常連客が新しい店を訪れてくれたり、仕入れに困った際に大将が別の業者を紹介してくれたりすることもあります。

寿司職人として長く働くうえでは、握る技術だけでなく、困ったときに相談できる人や、店を応援してくれる人とのつながりも重要なのです。

寿司学校を卒業すれば、すぐに独立できるのか

寿司学校を卒業した直後に店を開くこと自体は可能です。しかし、どこで、どのような店を始めるかによって、成功の可能性は大きく変わります。

たとえば、寿司学校で2〜3か月学んだ人が、東京・銀座の一等地に伝統的な高級寿司店を開き、何十年も営業してきた職人と同じ価格、同じ形式で競うのは簡単ではありません。

長年店に立ってきた職人には、握りの技術だけでなく、魚を見る目、接客、仕入れ、店の運営、顧客との関係など、積み重ねてきた経験があります。
同じ土俵で競えば、その経験の差は大きく表れるでしょう。

一方で、寿司職人の道は、伝統的な高級寿司店だけではありません。

海外で寿司職人として働く道もあれば、カジュアルな寿司店を始める方法もあります。
従来の寿司店にはないコンセプトやサービスを取り入れ、企画力によって差別化することもできます。

価格、店の雰囲気、提供方法、対象とする顧客などを工夫し、これまでにない寿司店をつくれば、長年修業した職人とは違う市場で勝負できます。

寿司学校を卒業しただけで、すぐにあらゆる寿司店を運営できるわけではありません。
しかし、学んだ技術と独自のビジネスアイデアを組み合わせることで、新しい寿司職人の働き方を生み出すことは可能です。

寿司職人の修業と寿司学校、どちらを選ぶべき?

寿司職人の修業と寿司学校は、どちらか一方だけが正解というものではありません。

伝統的な高級寿司店で一流の職人を目指すのであれば、実際の店で長く経験を積むことが重要です。
一方、海外で働きたい人や、新しい形の寿司店を始めたい人にとっては、寿司学校で短期間に技術を学ぶ方法が有効でしょう。

寿司学校を卒業したあと、寿司店に入って修業するという選択肢もあります。

学校で基礎を身につけてから現場に入れば、仕事を理解しやすくなり、修業の時間をより有効に使える可能性があります。

いまや、安価な寿司を大量に提供する仕事は寿司ロボットが担うようになっています。
人間の職人は、接客や店づくり、職人ならではの技術など、機械では代替しにくい価値を提供することが、これまで以上に求められていくでしょう。

寿司学校の登場によって、寿司職人になるための道は大きく広がりました。

大切なのは、「修業が必要か、必要でないか」と二者択一で考えることではありません。

自分がどのような寿司を握り、どのような場所で、どのような店をつくりたいのか。その目標から逆算して、必要な学び方を選ぶことが重要なのです。

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この記事を書いた人

さかなのNEWS編集部。魚、漁業、水産業のことを「広く」「深く」「ゆるく」伝えています。

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