ガリを見れば寿司屋がわかる? 知っているようで知らない寿司の脇役たち

寿司を食べるとき、何に注目していますか?

マグロやサーモンなどのネタ、シャリのおいしさに目が向きがちですが、実は寿司のおいしさを支えているのは、それだけではありません。

ガリやワサビ、お茶、海苔。普段は何気なく口にしているこれらの「脇役」にも、寿司屋ならではのこだわりが詰まっています。

今回は知っているようで意外と知らない、寿司の副素材の世界をご紹介します。

目次

寿司のおいしさを支える「副素材」とは?

寿司の主役といえば、魚のネタとシャリ。しかし、それ以外にも寿司にはさまざまな素材が使われています。

例えば、ガリやワサビ、海苔、そして一緒に提供されるお茶。
これらのような副素材は、実は、寿司屋にとってなかなか難しい存在です。

というのも、ガリやお茶は、基本的にそれ自体でお金をいただくものではありません。

例えば、もっとおいしいお茶を提供したいと思っても、高級なお茶に変えたからといって、その分だけ寿司の値段を上げられるわけではありません。

ワサビも同じです。高価な本ワサビを使ったからといって、それだけでお客さんが増えるとは限りません。
ガリを店内で仕込むにも、手間と時間がかかります。

つまり、副素材はこだわろうと思えばどこまでもこだわれる一方で、直接的な売上にはつながりにくいものなのです。

それでも、良い寿司屋ほど、こうした細かな部分に力を入れていることがあります。

「魂は細部に宿る」という言葉がありますが、まさに寿司屋のこだわりは、主役ではないところに表れるのかもしれません。

ガリとワサビに表れる、寿司屋のこだわり

寿司屋のこだわりを知るうえで、ぜひ注目してほしいのが「ガリ」です。

ガリとは、生姜を甘酢に漬けたもの。寿司の合間に食べることで、口の中をさっぱりさせてくれます。
おまかせで寿司を注文すると、最初にガリが出てくることがあります。

実は、このガリを見るだけでも、その寿司屋のこだわりが少し見えてきます。

例えば、ガリを自家製で仕込んでいるお店では、切り方や厚み、味付けなどに個性が表れます。薄く切ったものもあれば、少し厚みを残したものもあり、甘さや酸味のバランスも店によってさまざまです。

最初に出てきたガリを口にすると、「この店は、こんなところまでこだわっているのか」と感じることがあります。
もちろん、既製品のガリを使っているからといって、おいしくない寿司屋というわけではありません。
あえて手間やコストを抑え、その分、手頃な価格でおいしい寿司を提供するという考え方もあります。

もう一つ、注目したいのが「ワサビ」です。
ワサビには、大きく分けて本ワサビと西洋ワサビがあります。西洋ワサビは比較的安価で、ツンとした辛味が特徴です。市販のチューブ入りワサビにもよく使われています。

一方、本ワサビは、辛味だけでなく豊かな香りも魅力です。

こだわりのある寿司屋では、本ワサビをサメ皮のおろし器ですりおろして提供することもあります。すりおろしたばかりの本ワサビは香りが良く、寿司のおいしさを引き立ててくれます。

普段は何気なく食べているワサビですが、辛味だけでなく香りにも意識を向けてみると、その店のこだわりを感じられるかもしれません。

「あがり」や「なみだ」。専門用語の使い方

寿司屋で欠かせないものといえば、お茶もその一つです。
特に回転寿司では、席に粉末茶が置かれていて、好きなときに温かいお茶を飲めるお店も多いですよね。

寿司屋のお茶には、単に喉を潤すだけでなく、口の中をさっぱりさせるという役割があります。
そのため、必ずしも高級なお茶を使えば良いというわけではありません。寿司の味を邪魔せず、次の一貫をおいしく食べられるようにすることが大切なのです。

ところで、寿司屋のお茶を「あがり」と呼ぶことをご存じでしょうか。

寿司屋で「すみません、あがりをください」と注文する人もいますが、実はこの言葉、本来は食事の最後に出すお茶を指しています。

現在ではお茶全般を「あがり」と呼ぶこともありますが、もともとは最初や途中に飲むお茶とは区別されていたのです。ほかにも、寿司屋にはワサビを「なみだ」と呼ぶなど、独特の専門用語があります。

こうした言葉を知っていると、つい使ってみたくなるかもしれません。しかし、意味や使い方を十分に知らないまま使うと、思わぬ勘違いをしてしまうことも。

無理に専門用語を使わず、普通に「お茶をください」と伝えるのが良いかもしれませんね。

海苔の価格高騰で、軍艦巻きが変わるかも?

寿司の副素材の中でも、近年大きな変化が起きているのが「海苔」です。

巻き寿司や軍艦巻きには欠かせない海苔ですが、近年は価格が高騰し、品質の良いものを確保することも難しくなっています。
その背景の一つにあるのが、海水温の上昇です。

海苔は主に水温の低い時期に養殖されますが、冬になっても海水温が十分に下がらないと、生育や品質に影響が出ることがあります。
さらに、海苔を食べるクロダイによる食害も問題になっています。

こうした影響によって海苔の生産が不安定になると、寿司屋にとっても大きな負担となります。

もしかすると将来は、海苔を使わない軍艦巻きのような寿司が、今より増えてくるかもしれません。
ちなみに、軍艦巻きは東京・銀座の老舗寿司店「銀座久兵衛」が考案したといわれています。

海苔でシャリの周囲を囲み、その上にイクラやウニなどをのせることで、握り寿司にはしにくかった食材も楽しめるようになりました。

その見た目が黒い船のようだったことから、「軍艦巻き」と名付けられたとされています。

何気なく食べている軍艦巻きにも、寿司職人の工夫や歴史が詰まっているのです。
そして今、その軍艦巻きを支える海苔が、環境の変化によって影響を受けています。

普段は脇役として見過ごしがちな海苔ですが、寿司文化を支える大切な存在であることを、改めて感じさせられます。


寿司を食べるとき、どうしてもネタやシャリに目が向きがちです。

しかし、ガリの味付けやワサビの香り、お茶の役割、海苔の品質など、脇役に目を向けてみると、いつもの寿司にも新しい発見があります。

次に寿司屋を訪れたときは、ぜひガリやワサビにも注目してみてください。

いつもの一貫が、少し違った味わいになるかもしれません。

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この記事を書いた人

さかなのNEWS編集部。魚、漁業、水産業のことを「広く」「深く」「ゆるく」伝えています。

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