コロナ禍で飲食店の時短営業や酒類提供の自粛が続いています。外で美味しいものを気兼ねなくゆっくり食べられる日常が早く戻るよう、日々願っています。

 そんな中でも、通販や店頭で殻付きの生食用牡蠣が買える機会が増えたのは大変ありがたい限りです。

 実は私は過去に生牡蠣に当たって以来ずっと苦手意識があったのですが、こちらの本に登場する生牡蠣にまつわるエピソードがとてもロマンチックだったので、作品の世界をよりリアルに感じたいと思い、克服したいと思うようになりました。

 その後、知識を付けて再度挑戦したことにより、今では限りなく少ないリスクでうまく生牡蠣と付き合っています。

 注意したいのは、生食用牡蠣と加熱用牡蠣の違いです。生食用の牡蠣の海域は、雑菌が少ないきれいなエリアに定められています。また、生食用は殺菌処理のため紫外線で浄化されています。それぞれの自治体の基準値をクリアしたものが生食用として流通しています。

 対して加熱用の場合は殺菌処理をしないまま出荷されるので、その分旨味も浄化されずに残っています。

 ですので、生食用と加熱用の違いは海域と細菌の数であり、鮮度ではありません。海域と処理方法が違うのです。どんなに新鮮でも加熱用を生で食べることは絶対にやめましょう。逆に加熱調理の場合は加熱用牡蠣を使用した方がよりおいしく頂けます。調理法に合わせて適切に選びましょう。

 それらを踏まえた上で、どんなに検査をくぐり抜けた牡蠣であっても体調に不安がある時には生食を控えるという判断も大事です。牡蠣は、亜鉛や鉄分、グリコーゲンなど栄養豊富な食材なので、体調に合わせた調理法で積極的に摂りたい食品です。

参考サイトhttps://www.cocokarafine.co.jp/oyakudachi/recipe/201402063.html

 およそ10年ぶりの生牡蠣チャレンジは・・・昨年末からの真牡蠣のシーズンにはパックに入っている剥き牡蠣から少しずつ挑戦し、今年の夏はついに念願の殻付きの生牡蠣をおいしく頂くことができました!

10年ぶりの生牡蠣

 左は宮城、右は岩手のもので食べ比べをしてみました。どちらも大きさは同じくらいで殻の端までたっぷり身が入っていました。この日購入したものは、右の岩手産の方がクリーミーに感じました。

 ちゅるんとした食感は生ならではの醍醐味ですね・・・癖になります。そして殻付き牡蠣のこの大きさ!人生の楽しみが増えました。

 「冬は真牡蠣・夏は岩牡蠣」と言われることが多いですが、昨今は養殖の真牡蠣が充実しており、冬だけではなく夏も色々な品種の真牡蠣を頂くことができます。今の季節だからこその食べ比べも楽しそうなので、夏が終わるまでに岩牡蠣を試してみたいと思っています。

 「村上龍料理小説集 Subject 9」は、海外のオイスターバーで出会った男女のお話の短編です。連絡先も知らないまま、その後三回偶然の再会をします。三回目に再会した時は成り行きで二人で牡蠣を食べに行きます。「それでね、三度目は逆に生牡蠣のことを考えてたらあなたに会ったんです」というセリフが印象的でした。

 こうやって生牡蠣のことを考えていたら、私にも素敵な出会いが訪れやしないでしょうか。

筆者プロフィール:
水産系シンガーソングライター 牧野くみ
魚食×アートの可能性を探る。ととけん1級所持。
2019年、鮭をテーマに3曲収録した「あの川を目指して」自主制作リリース。

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