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毎日が「ワカメのおじや」漁師の朝ごはんに求められるポイントとは?

初夏は海藻も美味しい季節。その海藻の代表格といえばワカメ。ワカメといえば、春の食べ物という印象が強いですが、私の地元である新潟県糸魚川市筒石では、初夏にワカメ採りを行います。

筒石でのわかめ採りの様子

このワカメ取りは、岩場に生えた天然物を取り、村中で選別、塩もみといった処理を行うのですが、各家庭に割り当てられる量には凄まじいものがあります。例えば、2020年の場合は、1家庭あたり約70Kg!

割り当てられたワカメは、親戚に分けたり、仲間内に販売したりするのですが、それでも1家庭に割り当てられる量はとてつもない量となります。このワカメを1年かけて消費するのですが、なぜこんなにもワカメが必要なのでしょうか。その理由は、朝ごはんにありました。

漁師をしていた我が家では、朝ごはんは毎日「ワカメのおじや」でした。作り方は、前日のワカメの味噌汁に少々のご飯を入れておじやの素をつくり、それを冷ご飯にかけて混ぜるというもの。こうすることで、ちょうどいい温度になって食べやすくなります。

なぜ、このような「ワカメのおじや」を毎朝食べるのかというと、それは時化や漁具の故障、予想外の大漁といった理由で、船が急に入ってくることがあるからです。そんな時でもチャチャッと朝ごはんを食べられる工夫がこの「ワカメのおじや」にはあるのです。

毎日でも飽きない「ワカメのおじや」は、磯の香りも漂い絶品です。海の恵に感謝しつつ迎える朝には気持ちの良いものがありますよ。

【筆者プロフィール】
さかなのNEWS編集長・ながさき一生
漁師の家庭で18年間家業を手伝い、東京海洋大学を卒業。現在、同大学非常勤講師。元築地市場卸。食べる魚の専門家として全国を飛び回り、魚好きのゆるいコミュニティ「さかなの会」を主宰。

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この記事を書いた人

さかなのNEWS編集部。魚、漁業、水産業のことを「広く」「深く」「ゆるく」伝えています。

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